ソファのある光景 #1ホネとボール

 
板張りされた広いリビングルームにソファがぽつんとひとつ。
そのソファの上には水色のクッションがぽつんとひとつ。

夜になると、この家の主が帰ってきて
このソファに座ってテレビを見たり、ご飯を食べたり
寝そべって本を読んだり、うとうとしたり
ソファは占領されてしまうのだけれど
それまでは、この家に住んでいる
イヌとネコの格好の遊び場なのだ。

ソファの上で飛び跳ねたり、寝転んでみたり
飛び乗ったり、飛び降りたり
ソファの周りをぐるぐると追いかけっこしたり。


ある日、イヌのジョンはクッションの後ろに
大好きなホネを隠した。

それを見ていたネコのサーシャは
モノを隠すという行動がうらやましくてしょうがない。
ネコには大好きなものを隠すという習慣がないのだ。

自分もなにか隠したい。そう思ったサーシャは
クッションの後ろに大好きなボールを隠そうと思った。
しかし、そこにはジョンの隠したホネがある。

サーシャは、そのホネをぽーんと投げやって
ボールをクッションの後ろに隠した。


しばらくしてジョンが、大好きなホネを食べようと
クッションの後ろをのぞいてみると
自分の隠したホネはなく
そこにはサーシャの大好きなボールがある。

ジョンは、あたりを見回すと
遠くに投げ捨てられたホネを見つけ
再び、クッションの後ろに隠した。


太陽が西へ頃きはじめたころ
ベランダでひなたぼっこをしていたサーシャが
リビングへ帰って来た。
ボール遊びをしようとクッションの後ろをのぞくと
そこには遠くへ投げやったはずのホネがある。
隠したはずのボールはどこにも見あたらない。
サーシャは、ボールを探し出すと
さっきと同じように、ホネを投げやり
クッションの後ろにボールを隠した。


またしばらくして、再びジョンがクッションの後ろをのぞいてみると
隠したはずのホネは、またもやボールにすりかわっている。
もう一度ジョンはホネをクッションの後ろに隠すと
今度は遠くから、クッションをじーっと見つめていた。


何も知らず、ボールを探しにやってきたサーシャ。
ボールがホネにすりかわってることに気付くと
再びホネを遠くに投げやろうとする
その瞬間。

遠くで見ていたジョンがやってきて
「キミはどうして、ボクの宝物を遠くへ投げやるんだい?」
サーシャに尋ねた。

「だって、ホネがあるとボールが隠れないんだもの。」
そう答えると、ジョンは
「そうだったのか。だったらいい考えがあるよ。
 クッションの後ろじゃなくて、ソファの下ならどうだい?
 そしたら、ボクの大好きなホネも、
 キミの大好きなボールも
 一緒に隠すことができるじゃないか。」

「それはいいアイデアだ!」
サーシャも両手を叩いて喜んだ。

「キミの大好きなホネを投げやってごめんね。」
サーシャが謝ると
「ううん。ボクもキミの大好きなボールをどかしちゃってごめんね。」
ジョンも謝った。


それから、ふたりはソファの下にホネとボールを隠し
家の主が帰ってきてソファを占領されても
ソファの下でふたり仲良く素敵な時間を過ごしました。

| 2012.07.27 Friday | 18:37 | [ ソファのある光景 ] | comments(0) | hatu |

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