8.15


8月15日。
今年も、うだるような暑さの中、この日がやってきた。
今までは政治的なこととか、戦争のこととか
そういうことはなるべく書かないように
楽しい、ほほえましいようなものを描くようにしてきた。
特に理由があったわけではないが、
良い子ぶるようであまり気が進まなかったのだ。

今年もこれと言ってなにかあったわけではない。
ただ、ふと気になったことがいくつかあるので
こんなタイトルで書いてみた。


オイラの記憶の確かならば
日本の8月は、戦争や人の命について
いろいろ考えさせられる時期だったと思う。

新聞のコラムには、戦争にまつわる話が書かれ
戦争を体験した人たちの手記が投稿される。
テレビでは「はだしのゲン」や「火垂るの墓」が放送され
帰省先の実家では、つまらないながらも
両親や祖父母たちの戦争の話に耳を傾ける。
それが、8月の風物詩の一つだったはず。

ところが、戦争が終わって70年近く過ぎようとする昨今
この8月の様相が少し変わってきたように思える。
不景気のせいもあってか、スポンサーに頭の上がらないテレビ局は
視聴率を優先したバカバカしいバラエティを流し
NHKだけが申し訳ない程度に合同慰霊祭を放送している。
映画を作れば、喫煙シーンが多いだの
子供の裸が映っているだの、よからぬいちゃもんをつける。
挙げ句の果てに、国会議員たちは
平和を謳った憲法第9条まで改正しようとたくらんでいる。
戦争が終わって、どれだけ戦争が愚かなことかと
その罪の深さを認め、もう二度と過ちを犯さないと
先人達が作り上げた、あの誇りはどこにいってしまうのか。


終戦から長い時間が過ぎ、戦争を体験した人は減っていき
戦争を知らない人が増えて行く。
それは、それだけ平和な時間が過ぎたという証拠であって
ある意味喜ばしいことなのかもしれない。
だけど、これだけは絶対に風化させてはいけない
日本の過去。世界の過去。
そして、今でも世界のどこかで戦争が続いているということも
忘れてはいけない。


小学校の頃に、学校の授業で「部落問題」というのを習った。
遠い昔、あの地区は何と言う部落で
卑しい農民達が住み、周りから差別を受けていた。
そんなこと今の子供達は誰も知りやしない。
かえって無駄な知識を与えたが為に
また新たな差別を生むのだと思った。

今になって思えば、それは間違っていて
昔そういうことがあったから
みんなはやってはいけません。という教えだったと気付く。
ただ、実際の地名をあげていじめを助長しかねない教え方にも問題はあったと思うが。


もちろんオイラも戦争を経験していない年代。
戦争がどんなにひどいものか
想像することしかできない。
だけど、祖父母や両親から話を聞いたことがある。
戦時中のこと
戦争から奇跡的に生還した祖父のこと
戦死した祖父の兄弟のこと。
戦争を体験した、その本人から直接話を聞いたのだ。
たとえそれが間接的でも、後生に伝える義務があると思う。

幸いにも、人に何かを伝えることを生業として生きている。
どんなに規制されようとも、どんなに非難されようとも
それだけは譲ってはいけないものだと
昨今の日本を見て、改めてそう思った。


明日も笑顔で。
2013年 8月15日

hatu
 
| 2013.08.15 Thursday | 01:53 | [ え と ぶん ] | comments(0) | hatu |

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